2010-05-15
古武道セミナー
5月28日(金)から30日(日)まで3日間、琉球古武道保存振興会東京道場主催となって古武道セミナーを開催しました。今回は総本部から赤嶺浩会長を初めてお招きし、会員の技術向上のために指導していただく機会を設けました。この3日間は東京深川新垣道場をはじめ、多摩同好会、大森同好会などからたくさんの会員が参加して練習に汗を流し、また、懇親会で交流を深めました。
5月28日金曜日
初日のセミナーは平野福祉会館(東京都江東区平野)で午後6時から9時半まで開催。メンバーは赤嶺会長、新垣昭善先生のほか、宮平リンさん、桐井公仁さん、夏野大介さん、嶺孝美さん、桑名真輔さん、風間宗栄さん、古川重明さん、ブライアンさん、村松義久さんとわたしの計12名でした。
赤嶺会長の凛とした声音で稽古開始の礼作法が始まると、いつもの稽古以上に身が引き締まる思いがしました。準備運動では、普段は行わない棒の動作を赤嶺会長が示すと、見様見まねですぐに模倣できるメンバー、見ても思うように身体が動かせずに固まってしまうメンバー(わたしはこっち)でバラバラになりました。
棒の基本練習では、赤嶺会長が号令を掛けながら、参加メンバーの振り方をチェック。1番ごとに間違っている動作を指摘していきます。個々のメンバーの動きを細かく直すというよりは、多くのメンバーが間違えている個所を重点的に説明しているようでした。7番でも、普段はしない狭い場所で練習するときの棒の振り方を赤嶺会長が披露。参加メンバーの中でも特に新垣先生が習得にてこずっているという大変珍しい光景がありました。
熱心に振られる棒の間を歩く赤嶺会長に見られているという緊張感からか、練習開始から一時間経過して基本練習が終わった頃にはメンバー全員、顔が紅潮、汗びっしょりとなっていました。休憩を入れてからいよいよ型の練習。級のメンバーと段のメンバーに分かれて指導を受けました。今まで自分で正しいと思っていた動作が違っていると指摘され、また、なぜそういう動きをすべきなのかまで赤嶺会長が詳しく説明してくださったので、すんなり理解することができました。4段であるため、一番多くの型の練習に参加して汗を流し、習いたての5段の型では赤嶺会長から細かく指導されていた新垣先生が一番楽しそうにしていたのが印象的でした。
稽古終了後には参加メンバーで記念撮影をしてから懇親会の会場に向かいました。セミナーの疲れを楽しい会話と飲食で癒しました。
5月29日土曜日
セミナー2日目は、多摩福祉センター(東京都多摩市南野)で午後1時から5時まで行われました。赤嶺会長が宿泊しているホテルからセミナー会場までは車で2時間ほどかかるので、会長を送迎する新垣先生の車に桑名さんと乗って午前10時前にホテルの入り口に到着、赤嶺会長を乗せて目的地に向かいました。
多摩までの車内は、赤嶺会長が沖縄の近況や海外セミナーでの興味深いエピソードなどを話していただき、楽しく過ごさせてもらいました。
12時頃に夏野さんや桐井さんの運転する車と合流し、セミナー会場近くのファミリーレストランで昼食をとりました。多摩という場所柄か、車から降りると少し涼しく感じました。
13時前に福祉センターに到着。稽古場に入ると調康孝さんが既に胴着に着替えてウォーミングアップをしていました。初日のメンバーに遠山敦子さんやスキップさんが加わって稽古が始まりました。今日のセミナーは初日に比べて練習時間が長いため、型の練習ではより少人数に分かれて赤嶺会長に細かく指導を受けました。昨日のセミナーにも参加していたため、緊張感も和らぎ、気持ちにいくらか余裕も生まれていましたが、その分、昨日指摘された修正箇所を再び赤嶺会長に注意されると自分の不甲斐なさにガックリもしました。
練習終了後には、再び参加メンバーで記念撮影してから懇親会のために予約した居酒屋に移動しました。初日同様、楽しく飲み、食べ、会話に花を咲かせましたが、赤嶺会長や新垣先生が座ったテーブルの反対側では、遅れて風間さんと草薙直仁さんが加わった辺りから、少々度を超えて騒がしくなってしました。懇親会終了後も多摩道場のメンバーは居酒屋に残って「反省会」をしたそうです。
5月30日日曜日
セミナー最終日は、深川小学校(東京都江東区高橋)で午前10時から2時間稽古しました。昨日のメンバーに金田佳宏初段が加わって練習がスタート(遠藤毅之さんも見学に訪れました)。セミナーと懇親会の連続でメンバーの顔には疲労が色濃く残っていましたが、セミナーの総仕上げとして懸命に棒や釵(さい)を振り続けました。途中、赤嶺会長が琉球古武道の要諦としておっしゃった「棒を動かすのではない、釵を動かすのではない、身体を動かすことで棒や釵が動いてくる」という言葉には、一同深く感銘を受けたようでした。
セミナー終了後には夏野さんと古川さんの特別昇段審査が行われました(夏野さんは三段、古川さんは初段の審査でした)。両者とも緊張の面持ちで出番を待ち、席に着いた赤嶺会長の合図で指定された型を順番に演武しました(審査員はほかに新垣先生)。審査員二人が厳しい眼差しを向け、他のメンバーが見守る中、夏野さんと古川さんは無事に自分の型をやり遂げました。演武終了後に赤嶺会長から審査結果が発表され、夏野さんは見事合格、古川さんは保留という結果になりました。二人ともホッとしたと同時に練習した型をやり遂げたという満足感がその表情から窺えました。
セミナーの全日程が終了し、近くの中華料理屋で最後の懇親会を開きました。会の冒頭、東京道場を代表して嶺さんから赤嶺会長に、新築された総本部道場へのお祝いが手渡されました。
食事会終了後、参加メンバーはあらためて赤嶺会長に挨拶していったん解散。赤嶺会長以下数名は、両国にある江戸歴史博物館を観光しました。その後、夜の便で赤嶺会長は沖縄に帰られました。
東京にいて、これほど琉球古武道に打ち込んだ3日間はなかったと思います。次にお会いする機会には、少しでも今以上に上達した姿を赤嶺会長にお見せしたいと参加メンバー一同、深く心に刻みました。赤嶺会長、ご指導本当にありがとうございました。(了)
古村賢司